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弁護士が教える成功報酬の落とし穴と対策

こんにちは。弁護士の谷直樹です。

このブログでは私が中小企業の相談対応を行ってきた経験に基づいて、弁護士費用について解説しています。

この記事では弁護士の成功報酬について基本事項と注意点を解説します。弁護士に裁判などを依頼するときに知っておくと失敗せずに済むため、依頼を考えている人はぜひご一読ください。

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また、着手金の負担をおさえるコツについてはこちらの記事に詳しく書いていますのであわせて読んでみてください。

>>弁護士が教える着手金の負担を軽くするための7つの方法




成功報酬とは何か―弁護士の成功報酬の基本知識



基本事項① 成功報酬は事件終了時に発生する料金


まず、成功報酬とは何かということから解説します。「もう知っている」と言う方は読み飛ばしていただいて構いません。

成功報酬とは、弁護士の事件処理が終わったときにその処理が上手くいった場合に限り発生する料金です。「報酬金」という呼び方をするときもあります。

弁護士の事件処理が「成功」した場合にのみ発生する「報酬」ですから「成功報酬」と呼ばれています。

これに対して、成功報酬とセットで使われる料金として着手金というものもあります。着手金は事件を依頼したときに弁護士に払う料金です。

つまり、着手金は事件の最初に払う料金、成功報酬は事件が終わったときに払う料金、と覚えておきましょう。

基本事項② 成功報酬は事件処理が上手くいったときにだけ発生する


成功報酬という言葉を読めばわかるとおり、弁護士への成功報酬の支払義務が生じるのは弁護士による事件処理が上手くいった(成功した)場合だけです。

たとえば、100万円の未払代金の支払を求める裁判を弁護士に依頼したとします。この場合、弁護士ががんばって裁判を戦ったものの負けてしまい請求が認められなかったとすると、成功報酬は発生しません。

これは当然のことのようにも思えますが、頭に入れておく必要があります。

事件処理が上手くいかずに裁判で負けてしまったのに「報酬金を払ってください」などという弁護士は普通はいないはずですが、そういう請求を受けたら別の弁護士に相談したほうがよいでしょう。

基本事項③ 成功報酬の額は成功の度合いに応じて算定される


通常、成功報酬は事件処理により得られた経済的利益の額に一定の料率(パーセンテージ)をかけて算定されます。

「経済的利益の額」とは、その事件で依頼者が獲得した利益をお金に換算した金額のことです。

これは金銭の支払を求める裁判の場合はわかりやすいでしょう。たとえば、200万円の支払を求める裁判で勝訴し、200万円の支払を相手方に命じる判決が出た場合の経済的利益の額は200万円です。

一方、裁判はお金の支払を求めるものだけとは限りません。たとえば、自分の所有する土地が不法占拠されている場合にその明渡を求める裁判を起こすケースもあります。

この場合も請求をお金に引き直して計算して経済的利益の額を出します。たとえば所有権に基づく土地の明渡の訴えであれば土地の時価などに基づいて経済的利益の額を計算することになるでしょう。

裁判ではこちらの請求が100%認められる(全面勝訴)か、全く認められない(完全敗訴)か、のどちらかしかないわけではありません。

たとえば、200万円の支払を求めて裁判を起こしたものの、そのうち50万円についてはすでに支払済みだったと判断され残額の150万円の支払を命じる判決が出ることもあります。これを一部勝訴判決と呼びます。

この一部勝訴判決の場合、判決で命じられた金額が経済的利益の額になります。上の例であれば150万円です。この150万円に一定のパーセンテージをかけて成功報酬が算定されることになります。

成功報酬について気を付けるべき3つのポイント



ポイント① 成功報酬には相場がある


基本事項をおさえた上で弁護士の成功報酬を考える際のポイントを解説していきます。ここで書いた内容を知った上で弁護士の見積もりや費用に関する説明を受けると内容をよく理解できますし、自分にとって有利な契約かどうかを見極めることができます。

まず、成功報酬には相場があります。

弁護士の料金(報酬)は現在自由化されているため、各弁護士は自分の好きなような料金を定めることが可能です。成功報酬に関しても同様です。

しかし、実際には大半の弁護士がほぼ同一の水準で弁護士の料金を定めています。成功報酬に関しても同じで、多くの弁護士の成功報酬の算定はほぼ一緒です。

これはなにも弁護士が談合しているというわけではありません。

元々、弁護士の報酬には弁護士の全国組織である日弁連が定めるルールがありました。このルールは現在撤廃されていますが、「弁護士報酬基準」という形で広く公表されており、現在でも多くの弁護士がこの報酬基準に沿って自分の法律サービスの料金を決めています。

つまり、この弁護士報酬基準に沿って弁護士の料金の相場が決まっているのです。

裁判対応を弁護士に依頼する場合の成功報酬について弁護士報酬基準は次のように定めています。

  • ■ 事件の経済的利益の額が300万円以下→16%
  • ■ 事件の経済的利益の額が300万円~3000万円→10%+18万円
  • ■ 事件の経済的利益の額が3000万円~3億円→6%+138万円
  • ■ 事件の経済的利益の額が3億円超→4%+738万円


実際に当てはめて計算するとわかりますが、獲得した経済的利益の額が増えるほど成功報酬の金額の伸びは緩やかになっていきます。

比較的小規模な事件であれば請求金額も300万円以下というケースが多いはずですから、成功報酬の金額は16%で計算されるケースが多いでしょう。たとえば、裁判の結果、200万円の支払が認められた場合は32万円(200万円×16%)が成功報酬の額になります。

このように、成功報酬のパーセンテージにはかなりしっかりした相場がありますから弁護士から見積もりを取ったときはこの相場と照らし合わせて比較してみることが大切です。

もし相場よりも高額の成功報酬が設定されている場合、その理由を弁護士に尋ね、納得できない場合は別の弁護士への依頼も検討したほうがよいでしょう。

ポイント② 金銭換算しにくい事件の場合の成功報酬には注意する


成功報酬は経済的利益の額に16%など一定のパーセンテージをかけて算定するのが基本ということをお話しました。

これはたとえばお金の支払を求める裁判などでは非常にわかりやすいと思います。

しかし、裁判の中にはお金の支払以外を目的とするものもあります。たとえば、次のような事件です。

  • ■ 離婚を求める調停や裁判
  • ■ 名誉毀損に対して謝罪広告の掲載を求める裁判
  • ■ 解雇や配置転換の無効の確認を求める裁判


どれも相手方に直接お金の支払を求める裁判ではありません。こうした裁判の場合も依頼者が希望する結果が得られた場合は成功報酬が発生する契約となっていることが多いのですが、問題はその成功報酬の算定方法です。

この場合、たとえば、謝罪広告の掲載を求める裁判であれば便宜的に広告掲載料を経済的利益の額とみなして16%などのパーセンテージをかけて成功報酬を算定する弁護士もいるかもしれません。

一方、こうした裁判の場合、経済的利益の額は算定できないとして、請求が認められた場合には一定の金額を固定で成功報酬とするという契約になっていることもあります。

たとえば、裁判で離婚が認められた場合は成功報酬30万円、のような定め方です。

たとえば離婚事件であれば日弁連の報酬基準にも成功報酬の範囲が決められており、これが相場と考えてもよいでしょう。弁護士報酬基準では次のように決められています。

  • ■ 離婚交渉・調停事件の成功報酬→20万円~50万円の範囲内の金額
  • ■ 離婚訴訟事件の成功報酬→30万円~60万円の範囲内の金額


これを見ると、金銭請求と比べて成功報酬の金額の幅が大きいということがわかるはずです。相場といっても成功報酬におよそ30万円の幅があります。

これはつまりどの弁護士に頼むかによって成功報酬の額が30万円近く変わってくる可能性があるということです。そのため、金銭の支払を求める裁判の場合以上に複数の弁護士に見積もりを出してもらって比較することが大切ということです。

ポイント③ 成功報酬の発生条件は弁護士ごとに違う場合がある


また、金額以外の部分でも弁護士によって取扱いが異なる部分があります。

それは「成功報酬の発生条件」です。

たとえば、取引先に対して300万円の売掛金の支払を求める裁判を弁護士に依頼するケースを考えてみましょう。

この場合、相場通りであれば成功報酬は得られた経済的利益の額×16%です。

しかし、この場合の「得られた経済的利益の額」のとらえ方が弁護士によって異なるケースがあります。

多くの弁護士は裁判を起こして支払を命ずる判決が出された場合、その判決で認められた金額を「得られた経済的利益の額」として成功報酬を算定します。たとえば、300万円全額について請求を認める判決が出た場合、300万円が経済的利益の額となります。

しかし、支払を認める判決が出たとしても実際に相手方からその金額を回収できるかは実は全く別の問題です。

たとえば、判決が出たとしてもそれを無視して払わない相手方だったとしたら、お金を回収するためには別途、強制執行などの取立ての手続が必要になります。また、こうした強制執行を行ったとしても相手方が十分な財産を持っていなければ結局お金は回収できないということになります。

この場合、いくら300万円の支払を認める判決があったとしても自社に入ってくるお金は0円ですから判決はまさに「絵に描いた餅」ということになりますね。

この場合でも、判決で命じられた金額によって経済的利益の額を決めるという契約であれば、弁護士に対しては満額の成功報酬(16%であれば48万円)を払わなければならないということになります。

一方、もし成功報酬を実際の回収金額によって算定する契約で弁護士に依頼すれば相手方に資力がないといった理由で回収額が0だった場合、成功報酬も0円ということになります。当然ながらこの違いは非常に大きいといえるでしょう。

先程書いたとおり、多くの弁護士は判決で認められた金額に基づいて成功報酬が発生するという形で事件を受けますが、中には回収金額によって算定するという契約にしている人もいます。当然ながら後者のほうが依頼者にとっては費用倒れのリスクを避けることができるため有利です。

このように成功報酬についてはパーセンテージだけでなく発生条件にも注意しておく必要があるでしょう。


まとめ―弁護士に依頼する前に見積もりを比較することが大切



この記事では弁護士の料金のうち、成功報酬について解説しました。

成功報酬は着手金と組み合わせて使われることが多い料金ですが、事件依頼時に固定額で請求される着手金と比べると契約時にあまり注意を向けないことが多いものです。

しかし、成功報酬にも相場がありますからそれを知った上で妥当な金額での契約かどうかをきちんとチェックする必要があります。

また、金額・パーセンテージだけでなく、成功報酬の発生条件や算定方法についても弁護士ごとに違いがある可能性がありますから複数の弁護士から見積もりを出してもらって吟味することが大切です。

成功報酬の基本事項についてはこちらの記事もあわせてお読みいただくと一層理解が深まります。

>>弁護士の成功報酬について



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