事務所ブログ

雑記帳

  1. HOME
  2. ブログ
  3. 雑記帳
  4. 無料で何度でも使える経営相談所「よろず支援拠点」について

無料で何度でも使える経営相談所「よろず支援拠点」について

こんにちは。弁護士の谷 直樹です。

私は長崎市内の事務所で弁護士をしていますが、自分の事務所以外にもいくつかの相談窓口でも弁護士として相談を受けています。この記事ではその一つである「長崎県よろず支援拠点」での活動について紹介したいと思います。

というか、この「よろず支援拠点」という制度、すごく良いものなんですが今一つ知名度がないようなので宣伝です。 よろず支援拠点全国本部 よろず支援拠点は国が全国に設置する、中小企業・小規模事業者の皆様のための経営相談所です。相談は何度でも無料。お気軽にご相談 yorozu.smrj.go.jp


上のリンク先のウェブサイトを見ていただければわかりますが、「よろず支援拠点」というのは公的な経営相談所で、日本全国、各都道府県に窓口が設置されています。

特徴は大きく次の3つ。

特徴① 経営に関する色々な専門家に相談することができる
特徴② 何度でも継続的に相談を受けることできる
特徴③ 相談が完全に無料である(重要)


特に②と③はすごいと思います。普通、こういう公的な相談窓口というのは1社ないし1案件について相談回数に制限があることが多いですが、「よろず支援拠点」は何回でも相談をすることができます。

しかも、相談はどれだけ受けても無料です。すごい。

***

私は長崎県にある「よろず支援拠点」で2018年から弁護士として中小企業や個人事業主の方からの経営にまつわる法律相談を受けています。

今ざっと確認してみたところ、1ヵ月に大体5件から10件の相談を受けていて、年間にすると100件近い相談を受けているようです。

自分の事務所の仕事もあるので「よろず支援拠点」では月に約3回の勤務ですが、それでもこれだけの件数の相談をいただくということは企業の経営者にとって法律問題というのは結構悩みの種の一つなのかなぁと思います。

私が受ける相談で多いのは、たとえば次のような法律問題です。

■ 契約書の作成や内容のチェック
■ 取引先との契約トラブルに関する相談
■ 海外展開や外国の会社の取引に関する相談
■ 事業所の賃貸借に関するトラブルの相談
■ 問題のある従業員の労務に関する相談
■ 裁判になってしまった案件に関する相談
■ 特許や著作権などの知財が絡む法律の相談


並べてみると色々ありますね。

私の取扱分野の特徴としては、普通の弁護士が扱う売掛金回収や裁判対応など以外に英文契約書や知財に関する相談も扱っているということです。なので、そういう問題の場合、地元の商工会議所とか発明協会などからご紹介をいただいて私が相談対応をすることも多いです。

それから、今までに契約書や企業の誹謗中傷対策に関するセミナーなどもやらせていただきました。人前で法律に関することを「教える」という機会は弁護士でもなかなかないことなので、こういう経験をさせてもらえるのも個人的にすごく楽しいなぁと思っています。

***

「よろず支援拠点」に配置されているのはもちろん弁護士だけではありません。というか、むしろ弁護士が配置されているのは全国の窓口の中でも一部だけだったりします。

各地の「よろず支援拠点」にはたとえば次のような専門家の方々が配置されていて、それぞれの得意分野を活かして中小企業の経営の悩みにアドバイスを行っています。

① 中小企業診断士
企業の融資や資金繰りなどの経営改善策に関する相談、売上拡大のためのビジネス戦略など中小企業の経営に関する悩みに幅広く対応してくれる専門家です。

② 販売士
中小企業診断士と取扱分野がかぶる部分が多いですが、特に商品開発やマーケティングなど売上拡大の方策に関するアドバイスを得意とされている方が多い印象です。

③ デザイナー
ロゴマーク、ウェブサイト、販促用のチラシ、パンフレットなど、企業と商品のブランドイメージを作っていくための方策をアドバイスします。マーケティング戦略を絡めてアドバイスしてくださる専門家も多いようです。

④ 行政書士
許認可、届出などの事業活動に必要となる官公庁での各種手続についてのアドバイスを得意とする専門家です。契約書のチェックのほか、起業・創業といった場面での相談対応も行ってくれます。弁護士と取扱分野に重なる部分が多いですが、法律とビジネスの橋渡しというか、対応できる範囲に柔軟性がある専門家の方が多い印象です。

⑤ 社会保険労務士
社労士という呼び名のほうが一般的かもしれませんね。雇用に関する法律や保険に関するスペシャリストです。中小企業がぶつかることの多い労務に関する相談に的確にアドバイスすることのできる頼れる専門家です。



以上は「よろず支援拠点」に配置されている専門家の一部、あくまでも一例です。

このほかにもたとえば長崎県の「よろず支援拠点」には、広告関係の企業を経営されている方や大手の新聞社出身のライターさんなど、多彩な専門家が揃っています。

もちろんあくまでも経営「相談」所なので、たとえばデザイナーであればウェブサイトを一から作ってもらったり、弁護士であれば裁判対応をお願いしたりといったことはルール上できません。

とはいえ、これだけ色々な専門家の経営に関するアドバイスを何回でも無料で受けられるというのはすごく良い制度です。その割にはあんまり一般に知られてない気がするのがとても残念。

***

実はnoteでクリエイターとして活動されている人、副業・複業としてコンテンツや商品を販売している人も「よろず支援拠点」は利用できます。会社(法人)ではなく個人事業主、自営業者の方ももちろん対象です。

今は事業化までできていない人でも創業・起業志望という形で相談することも可能です。

要するに多少なりとも自分でビジネスやマネタイズのために活動をしている人は広く「よろず支援拠点」の利用対象になる可能性があるので、興味を持たれた方はお近くの窓口に問い合わせてみることをおすすめします。

各都道府県の相談窓口はこちらのページから。 支援拠点一覧 | よろず支援拠点全国本部 よろず支援拠点は47都道府県にございます。それぞれの拠点には課題解決の専門家が在籍し、中小企業の経営者様のお悩みを解決へと yorozu.smrj.go.jp


なお、この記事は長崎県の「よろず支援拠点」に配置されている専門家としての個人の経験や見解を書いたものなので、同拠点やその母体である国の機関の意見を代表するものでは当然ありません。

それから制度に関して私が誤解している部分などももしかするとあるかもしれません。そうした点についての文責は全て私にありますので、もしお気づきの点がありましたらお気軽にお知らせください。

最後に、もう一度だけ。しつこいかもしれませんが「よろず支援拠点」ってすごく良い制度です。興味を持たれた方はぜひ利用してみていただけると嬉しいです。

関連記事